「おっそい。私の美白が真っ黒こげになるかと思ったじゃない。」

一応待たされたのだから文句を言ってはみるが、顔が笑ってるし、怒ってないのは直ぐにバレる。

「お前きっと日焼けしたら、ヤマンバギャルみたいになるぜ。注意しとけよー。」

ケタケタ笑う賢は、昔からあまりかわらない。
幼稚園の時泣き虫で私の後ろをチョロチョロとついてきていた賢も、小学生では明るい男の子になって、中学生ではもっと進化してヤンキーになった。

と、いってもここは東京みたいな都会じゃないから、タバコすってるわけでも万引きするわけでもない。
まぁ東京のヤンキーなんか見たことないからどんな人なのかわからないけど。
とりあえず、ヤンキーになったんだ、と言われたのでそうらしい。

そして高校生になって私は公立受験に失敗して、私立の女子校にはいった。
賢は小学校から続けていたサッカーの特待で、県内屈指の強豪である私立の学校に入った。
賢いわく、その時にヤンキーは卒業したらしい。

私はこうみえて、かなりの人見知りなので高校に馴染むのに凄く苦労していて、賢は部活がとても忙しいやしく、今日はとても久しぶりのデートだ。

だから。私の頬が緩みきってるのも仕方がない。賢の笑顔にときめくのも仕方がない……。

ペシっ

「あいたっ」

賢のデコピンが私のおでこにクリーンヒット。
前言撤回。
やっぱこんなやつに胸なんか、ときめかない。