「そ、そうでしょうね。」


 背中に冷や汗が流れる。


 笑顔も引きつるのも、この場では仕方がないってモンだ。


「正直なコトを申しますと、ここだけの話。お嬢様は上級階級の人間でありながら、お人が好すぎるところがあります。それゆえ、下級階級のような人間が、金銭目的で近づく可能性も危惧していたのですが。」


「そ、そうでしょうね……。」


 まったく同じ返事。


 もはや笑うしかない。