それからどの位車を走らせていたんだろう…


「前っち……」


何処か遠くで私を呼ぶ優しい声…


…一馬?


「前っち…着いたよ…」


違う…

私を呼ぶ、優しい声がもう一度聞こえた。


その声で私は浅い眠りから覚めた…


静かに流れる心地いい音楽と車の揺れに眠ってしまっていたんだと気が付いた。

「ご…ごめん 寝ちゃってたみたい…」


「よかと… 取り敢えず降りる?」


遠慮気味に言うその言葉でやっと、ここがホテルの駐車場なことに気が付いた。