私はそんな不安な気持ちと緊張を翔太郎に悟られるのが恥ずかしくて、必要以上にはしゃいだ…


そんな私を翔太郎は優しく微笑んで見ていた。


そんな顔されたら、ドキドキが止まらないよ…

どれくらいそうしていたんだろう?
翔太郎は自分の腕時計に目をやった。



「そろそろ行くかぁ…」



時計を見ると時間は12時半になっていた。



「う…ん」



行くて…何処に?
こんな時間だし…


翔太郎はそんな私の気持ちに気付いていないのか…
それとも…
気が付かないふりをしているのか…
何時ものクールな顔で微笑んで席を立ってレジへ歩きだした。



「ま…待って…」



「おぅ!悪い!はい」


振り返って、まだどうしていいのか分からずに座ったままの私に右手を自然に差し出した。


それでも、ボケッ…とする私の左手を仕方ないと言った顔で強く握って歩きだした。