来るときには降っていた雨も帰る頃にはきれいに止んでいた。

今時分の季節は日も短くて、空はすっかりもう真っ暗。

外は雨上がりの匂いと晩秋の冷たい空気に包まれていた。

夕方ともなると肌寒いなど通り越してけっこう寒い。

けれども、そんな中、皆はわざわざ車のそばまで私たちを見送りに出てきてくれた。

友和さんと正義さんが二人してスーツ姿の寛行さんをニヤニヤ笑う。

「まあアレだ、潔く殴られてこいや。正義みたいに意気地のないとこは見せるなよ」

「友和みたいに“下さい”って言っちゃダメなんだぞ!モノじゃないんだから」

「はいはい、ご忠告どうも。友和と正義を反面教師にさせてもらうよ」

なんともかんともな激励に、これまたなんともかんともな調子でこたえる寛行さん。

高野三兄弟の辞書に“兄”という文字は存在しないようである……。