でもでも……。
お伺いをたてるように寛行さんのほうを見ても、彼も彼で困ったように微笑してるし。
はてさて、どうしたものだろう?
だって、ジュンちゃんとむっちゃんには気兼ねはいらないとしても、だ……。
私は、パパとママの間でおすまししている光ちゃんをちらりと見た。
すると――
「光には、ママのダイヤの指輪をあげる約束してるんだよねー?」
「ねー。光はね、ママの透明のダイヤのやつもらうの!」
私の気持ちを素早く察したジュンちゃんが、光ちゃんにご了解?をとってくれたのだ。
「あとね、ダンナさんになる人にピンクのダイヤのやつ買ってもらうの」
「光はピンク大好きだもんねー」
「ねー」
首を同じ方向に傾けて、顔を見合わせニコニコ笑うジュンちゃんと光ちゃん。
そして――
一連のやりとりを静かに見守っていたお父さんが、私に優しく語りかけた。
「しーちゃん、まあ姑の我が侭だと思って、もらってやってくれないかい?」
「そんな、あの……」
「箪笥の中にいるよりも、また誰かの役に立てるほうがずっといいじゃないか」
ゆったりと慈しみ深く微笑みかけるお父さん。
その優しい笑顔も穏やかな口調も、寛行さんとそっくりで……。
それは親子だから当然といえば当然なのだけど……。
なんだか私はとてもじーんとしてしまった。