指輪はお花をモチーフにした、それこそ乙女チックな可愛いデザイン。
そして、立爪ではなくちょうどお花の真ん中に美しいサファイアが埋め込まれていた。
「すごく素敵ですね!」
「そう?ホントにそう思う?」
「可愛いというか可憐で?今つけてたってぜんぜんおかしくないですよ」
「じゃあ、しーちゃんつけてみる?」
「ええっ!」
びっくりして、思わず大きく目を見開く。
そして、私は胸の前で超高速で右手をブンブン振りまくって遠慮した。
「そ、そ、そんな!とても大事な指輪ですもの。見せていただくだけで十分です」
「まあまあ、そう言わずに」
「いえいえ、本当に見るだけで」
「こらこら、遠慮はなしよ?」
「いえいえ、こればっかりは」
「おやおや、強情だこと」
「いえ、あの、えと……」
うーむ……。
だって、人様の大事な婚約指輪をはめてみるなんてそんなこと……。
そりゃあ私は義理とはいえ娘になる身ではあるけれど、孫の光ちゃんとは違うもの。
あんまり遠慮するのも可愛くないけど、ここはやはり退けない気がする。
でも……。
どうしたものかとちょっと困って眉をハの字にする私をお母さんがふふふと笑う。
「あらあら、だってこの指輪はしーちゃんにもらってもらおうと思ってるのに」
「ええっ!!」
な、な、なんですと!?