寛行さんをちらりと見遣ると――
「あのさ、僕たち指輪は……」
私が話すより早く、彼のほうが先に口を開いたものだから――
「あ、あの!指輪のことは私が寛行さんに言った……というかお願いしたんです!」
私は慌てて彼の言葉を遮って、自分から皆に向かって話し始めた。
彼が花嫁になる私の希望を何より尊重してくれてるのを私の口から伝えたくて……。
彼は婚約指輪を“買ってあげたい”と言ってくれたこと。
なのに私が“買わないで”と言ったこと。
格式ばったことはせず、両家の顔合わせをもって婚約というかたちにしたいこと。
だからといって形式的なことを軽んじているわけでは決してないこと。
そして、私はいかにも意気込んだ調子で結婚指輪について話した。
「そのぶん結婚指輪には張り込むつもりなんです!やっぱり毎日するものですし」
決して費用のことを考えて我慢しているわけじゃないのをちょっと強調したかった。
なんとなくケチケチしてると思われちゃうのは悲しいし。
はたまた遠慮してると思われちゃうのも困ってしまうし。
自由に楽しくちゃんと二人で考えてるのを皆に理解って欲しかったから……。