メールはともかく、わざわざ電話をかけてよこす人は決まってる。

ケータイの表示を見ると案の定……発信元はやっぱりだった。

「はい、もしもし」

『はぁ~い♪しーちゃん、おベンキ~?』

「お母さん……」

まったく“おベンキ~?”なんて挨拶、いったい何処で覚えてきたんだか……。


お母さんの用件は予想通りと言うべきか、寛行さんが送ったお手紙のことだった。

『フフッ、届いたわよ。果たし状』

「果たし状!?」

思わずギョッと驚いて、どういうことか?と彼を見遣る。

すると、疑惑?の当人はというと――

ふふーんとそしらぬ顔をして、聞こえないフリぶっこいてるし……。

何をとぼけてんだか、この人は……。

まったくもう、後でしっかり“お話し合い”をしなければ。

それにしても、果たし状って……!?

『だってー、務さんがそう言ってたのよ』

「お父さんが???」

『そーよー。“寛行君から果たし状が来たぞ”ってね。なんだか一人で大騒ぎ』

お父さん……。

寛行さんといい、お父さんといい、いったいどうなってんだかもう……。