1.
鈴木詩織さま
いつもありがとう。
こうして手紙を書くのはやっぱり照れくさいけど頑張って書きます。
君と僕がお付き合いを始めてからそろそろ一年になりますね。
縁というのは本当にとても不思議なものだと思います。
君がまだF女学院にいた頃、君にとって僕はただの教員で、君も普通の一学生でした。
同じ大学にいても互いを気に留めることもなく黙ってすれ違っていたなんて。
今はこんなにも近くにいて、一緒にいることがとても自然で当たり前の僕らなのにね。
君と出会う前の僕はきっとどこか淋しい孤独な人間でした。
たとえ親兄弟が健在で家族関係が良好でも、いくら良き友人に恵まれていても。
一人じゃないけど、やっぱり一人。
上手く言えないけれど、なんとなくいつもそんな孤独を感じていたのです。