いよいよ、大作戦の始まり始まり!
なのだけど――
作戦は作戦でも確実に成功することが約束されたこの作戦。
私の心にあるのは、あくまでも予感ではなく予定であり、
彼がやろうとしているのは、作戦決行というよりも任務遂行のようなもの……。
完全なるハッピーエンドの予定調和の物語。
そしてそして、なんとなんと、そのヒロインはこの私で。
あろうことか、大好きな彼から素敵なプロポーズをされちゃうなんてシナリオで。
ゆるく繋いだ手を引かれるようにして、私の歩幅で約一歩、彼の後を下がって歩く。
わくわく高まる熱い期待。
どきどき高鳴る胸の鼓動。
うきうきと心躍る楽しい気持ち。
そわそわとどこか落ち着かない心。
「少し風が出てきたけど、寒くない?」
「ん、大丈夫」
「なら、よかった」
「うん」
「……」
「……」
「寒くなったら言ってね?」
「うん、寒くなったら」
「……」
「……」
まるで寄せては返す波のように繰り返される短い会話と僅かな沈黙。
ぜんぜん、気まずいわけじゃない。
だけど――
なんだかちょっと、照れくさくって、ぎこちない。