文句も言わずにモコの世話を続けた小学生の寛行さん。

そんな彼がついに大爆発をした。

……モコが死んでしまった日だ。

お父さんがそのときのことを話してくれた。


「モコはうちに来たときにはもう既にけっこう歳をとっていたから。

獣医の先生にも“大往生だったね”と言われたくらいだったんだ。

それでもやっぱり、当然のことなんだが小学生の寛行には相当ショックで。

それで、気持ちの整理をする為にもきちんとしたお弔いをすることにしたんだがね。

そのとき、寛行は……。

友和と正義が立ち会うことを許さなかったんだよ、絶対に。

特に正義はいつものように泣いてごねたりもしたんだがね、ダメだった。


“黙れ!来るな!絶対に来るな!”


そう怒鳴りつけて、寛行は頑として譲らなかったんだ。

あのときは、友和も正義も一瞬顔が引きつっていたような気がするなぁ。

なにせ、あんなふうに怒りに震える寛行なんて見たことがなかったから」


寛行さん……。


ふと気がつくと――

お母さんは席を外していて、話しているのはお父さんと私だけだった。


モコのお弔いに立ち会ったのはお父さんと寛行さんの二人だけだったという。

お母さんは、寛行さんがそれを許さなかったわけではないけれど……。

でも、だけど……。

お母さん自身が自分を許せなかったのだと……お父さんがそう教えてくれた。