畳敷きのゆったりとした居間に、寛行さんのお父さんとお母さん、そして私。
続き間になった向こうには、ごろんと横になった彼の大きな背中が見える。
座布団を二つ折にした枕に、大柄な彼には明らかに小さすぎるブランケットが一枚。
お母さんは“お布団出そうか?”と言ってくれたのに、断ったのは彼だ。
“快適すぎると熟睡してしまうから”と。
大きな背中をきゅっと丸めて眠る寛行さん。
その様子にお母さんがふふふと笑う。
「寛行の寝姿、子どもの頃からちーっとも変わってないわねぇ」
子どもの頃の彼。
いったいどんなだったんだろ???
「あの……寛行さんってどんな子どもだったんですか?」
「そうねぇ、寛行はねぇ……」
決して彼本人の口からは聞けないような、子どもの頃の、あんな彼やこんな事。
お母さんからどんなお宝話が聞けるのかと、すっごく期待で、わくわくどきどき。
だけど――
「うーん……あ、そうだ!寛行はね、頑固でちょっと理屈っぽい子だったわ」
「頑固で、理屈っぽい……」
「あぁ、あと要領が悪い子だったわねぇ」
「はぁ……」
頑固、理屈っぽい、要領が悪い……。
えーと。
それって、それって……。
今のまんまじゃないですかーっ!!