私は結婚式のこと真剣に考えて、あれこれ一生懸命やってるのに。
自分のドレスのことだけじゃなくて、寛行さんの衣装のことだって。
記念写真のことだって、お式のあとのお食事会のことだって。
家族だけとはいえ招待状はどうするのかとか、参列してくれたお礼はどうするかとか。
式次第のこととか、奏楽の曲のこととか。
みんな、みんなみんな、なんか……。
「なんか……」
「なんか……?」
私ばっかり、一人で……私ばっかり……。
“これはどうする?”
“あれはどうしよう?”
そうやって相談をもちかけるのは私ばかり。
しかも、返事は“君の好きなように”って、そんなのばかり。
だけど――
そもそも寛行さんは結婚式なんてやらなくてもよかったんだもんね……。
なのに、私の為につきあってくれているんだもんね……。
それこそ“無理やり”に……。
「なんでもない。ドレスのことは自分でもう少しよく考えてみるね」
「なんでもない……?」
「着たいの着るから。カスガイとか柘植さんにも相談して考えて決めるから大丈夫」
「そうだね……同性のお友達やプロに相談するのが一番だと思うよ」
「今日は疲れたから先に寝るね。寛行さんはお仕事頑張ってね。おやすみなさい」
そうして私は力無く薄く笑って、一人でさっさと寝室に引っ込んだ。
カチンときていたはずなのに、今はもう……ひどく悲しい気持ちだった。