とりあえず今日のところは資料をもらって次回の約束をして終了。
「今日ご提案した件はゆっくりご検討いただいて大丈夫ですよ。ただ――」
「ただ……?」
「衣装はもうできるだけ早く決めていただいたほうがいいと思います」
「わ、わかりましたっっ」
うわうわ、なんかいきなり焦ってきたぞ。
そんな私に久遠さんはドレス選びのアドバイスをくれた。
「試着には、お母様や女性の友達と行かれるのがおすすめですよ。
ワイワイ楽しみながらいっぱい試着して写真もいっぱい撮ってもらうといいですよ。
女性はそういうの何時間でも飽きませんからね。
新郎様には、まずはその写真を見せて意見を伺うのが吉です。
新婦様の衣装選びは時間がかかりますから。
どうしても飽きてしまう方が多いんですよ、男性は」
寛行さんは気が長いので、イライラと私を急かしたりすることはないけれど。
そんな彼でもさすがにげんなりしてしまうのだろうか???
彼の顔色を窺おうとそちらを見遣ると――
……。
素知らぬ顔して“僕、聞こえなーい”と、とぼけてる人が約一名。
うーん……。
さーてどうしたものか?と、ちょいと考えあぐねる私なのであった。