久遠さんは他にも色々な提案をしてくれた。
和装とセットになった写真の前撮りプランがあるとか。
ライスシャワーは禁止だけど(衛生面の問題)、フラワーシャワーは準備できるとか。
奏楽曲は曲目によってはリクエストを通せるかもしれないよ?とか。
「私の前任者の話では、昔はもっと杓子定規で窮屈だったそうです」
「そうなんですか?」
「ええ。例えば――ドレスは肌を露出しない長袖じゃなきゃダメだとか」
「ちょっと厳しいですね」
長袖ってそんな……。
毎月雑誌の付録のドレスのカタログ見てるけど、長袖なんてそうそうないもの。
「今は長いベールでカバーすればだいたいOKですよ。
世話役の先生が交替されてからは、本当に良いお式ができるようになりました。
先生が、伝統や品格を守りながら新しいことを取り入れようと仰って下さったから。
まあ、一般の式場みたいに何でもご要望にお応えすることは難しいのですけど。
それでも、新郎新婦の想いを大事にしたお式に随分近づけたかなと思うんです。
以前ならブーケセレモニーなんて絶対に無理でしたからね、きっと」