それは思いがけない提案だった。


「ブーケ?」

「セレモニー?」

「はい。ブーケセレモニーです」


その昔、とある国での愛のお話。

男性は野に咲く花を摘み、それを花束にして愛する女性に贈りました。

そして、彼女に求婚したのです。

彼女は喜んで花束を受け取りました。

そうして、花束の中から一輪だけ抜き取り、それを男性の胸元に挿しました。

プロポーズの“はい”の返事として。


このお話を元に結婚式に取りいれられたのがブーケセレモニーらしい。

もちろん、結婚式では野に咲く花を摘むわけではない。


「あらかじめ列席者の方々にお花をお渡ししておくんです。

で、新郎様が皆さんからお花を受け取りながら入場するという流れです」

「わぁ~、なんかロマンチックですね~」

「あの……その流れでいくと僕が花束作成するわけですよね……?」


あからさまに不安げな表情の寛行さん。

フフ……なんか急に可愛くなっちゃって。