久遠さんは、挙式までの流れや決めるべきことなどをおおまかに説明してくれた。
招待状の送付、衣装選び、ブーケ選び、お食事会の場所決め、証人のお願いなど……。
そして、さらに細かいことについて諸注意も含めて丁寧に話してくれた。
「ここは一般の式場と違って学校の施設なので幾つか制約があるんです」
「制約、ですか?」
「ええ。例えば――」
制約というのは、施設内でのトラブルを防止する為の縛り?のルールだった。
要するに“勝手によその業者をほいほい入れちゃダメ!”という。
学内のことを熟知した業者にのみアドバイザーを通して任せているとのことなのだ。
「必要な業者はこちらでご紹介させていただく中から選んでいただく形になります。
装花、写真、衣装・着付け……挙式に必要なものはほぼ全部ですね」
「衣装もですか!?」
他のことはともかく、ドレスが自由に選べなくなるのはすごく気になる!
「一応、持ち込みは禁止ということになっていてお預かりができないんですよ。
そういう場合は、お支度をした上で車で直接会場へ来ていただく形になりますね」
「なるほど……そういう人ってけっこういますか?今までにもいましたか???」
「もちろん。やっぱり一生に一度ですから気に入ったドレスは譲れませんものね。
お母様がお召しになったドレスをご自分もという新婦様もいらっしゃいましたよ」
「わぁー、素敵ですね」