明日には新しいベッドが来るから、こうしてお布団で寝るのは今夜限り。


「明日からは広々ベッドかぁ」

「もう君が落っこちそうになることも無いだろうね、きっと」

「寛行さんが、わざと対角線上に寝るとか意地悪しなければね」

「何言ってるの……」

「けど、寛行さんは広くなって嬉しいかもだけど、私はちょっと淋しいなぁ」

「うん?」

「だって、狭ければ自動的にくっついて寝るでしょ?くんくんパラダイスだもん」

「くんくんパラダイス……なんというかその……まさに君だけの楽園だね、うん」

「くんくんくん」

「広くなると言ってもほんの少しゆとりができるだけだよ」

「うーん、それはまあ……」

「こうしてくっついていれば、何処でもくんくんパラダイスだよ」


そうして彼はさらに私を側へ引き寄せ抱いてくれた。


「んんっ……どこでもパラダイスだ」

「そっ。二人でこうしていればね」


今夜からは――

ホントのホントに、ここが私の帰る場所。

彼の腕に抱かれながら、その幸せをあらためて感じる私なのだった。