彼と私の引っ越し記念日。
お夕飯はもちろん――
「♪お蕎麦、お蕎麦、美味しいお蕎麦!」
「引っ越し蕎麦でも食べれば“実感”出そうかい?」
「うん!出る出る!どばっと出るよ!」
「どばっと出るんだ……そりゃまた随分景気がいいね」
「縁起もいいよー。あ、根拠ないけどね」
「はいはい。じゃあ、景気よく上天ぷら蕎麦にしようじゃないか」
「うぉおお!そういえば、お蕎麦の出前ってとるの初めてだね」
「いつもは食べに行ってしまうからなぁ」
「ふぅ~。いつものお店、出前もやってて良かったね」
「本当にね。今日はさすがに食べに出る元気ないよ」
「あっ!寛行さん!」
「うん???何???」
「上天ぷら蕎麦なんて贅沢……はっ!まさか?ひょっとして?明日は二人で……!?」
「心中なんてことはないので心配なく。というか、まったく君は何言ってるの……」
「えへへ。鈴木家お約束の冗談なので、どうかご了承願いますデス」
「はいはい。じゃ、電話するね」
「ぃやっほーい!」