「あのですね、そういう答え求めてたわけじゃないんですけど……」
「えーっ」
「“えーっ”じゃないし」
まあ、彼らしいと言えば彼らしいけれど。
「君、さっきは“一途に想いつづけるよ~♪”って言ってたのに……違うの???」
「違わない。違わないよ~♪ららら~♪」
「うーむ。その歌って誤魔化すという新しい手法はいったい……」
「心の調和を育むよ~♪」
わざと怪訝そうな表情(かお)をする彼。
そしらぬ顔で歌いつづける私。
ほんっと……私たちってアホだと思う。
「まあ、僕らにはお守りの指輪があるからね、だから……きっと夫婦円満さ~♪」
「盤石さ~♪らりら~♪」
「安泰さ~♪るるる~♪」
「お腹すいた~♪ぐぐぐ~♪」
「詩織ちゃん、歌がかわってるよ……」
「ご飯♪ご飯♪お昼ご飯♪乾物屋さんはそのあとで~♪」
「はいはい。お昼ご飯食べに行こう~♪」
ともに歌い、ともに笑う。
彼だからこそ――
彼と一緒だからこその幸せ。
やっぱり、私には彼しかいないなぁ……。
微笑む彼の横顔に、幸せを噛みしめる私なのだった。