ひっくり返して裏を見ると、糊付けして封をした部分にこれまた丁寧に、
まるで現金書留のように“高野”のハンコが左・中央・右と三箇所に押印されていた。
まったく、綿密というか周到というか、なんつう芸の細かさだろう……。
おそらくこの郵送方法さえも彼なりの私へのメッセージ。
彼が私へ宛てた唯一私だけが受け取ることのできる“本人限定受取郵便”。
まぁ面倒なシステムのおかげで印鑑と免許証を持って郵便局へ来るはめになったけど。
彼はもともと何事にもまめな人。
しかも、こういうことにはいっそう手間を惜しまない。
まったく、そんな彼のバカバカしさが大好きなのだから私のおバカも折り紙つきだ。
彼が選んだその封筒、書いたその文字。
見るほどに嬉しさと愛しさがますます募る。
やっとこの手に受け取ることができた手紙。
彼から私への、ことぶき色のラブレター。
“君だけに送ります”
彼のその確固たる意志も、いかにも彼らしいおもしろ好きな遊び心も、
こうして今、ちゃんと私の手の中に心の中にしっかりまっすぐ届いてる。