そこから先はもう――
なーんか本当に、悩むとか?迷うとか?そんな暇はぜんぜんなくて……。
でっかい流れに“あ~れぇ~”と流されるように運ばれて……。
だいたい、場所は両家の間の中間あたりがいいに決まっていたし。
お店だって個室があって落ち着いた雰囲気のところに候補は限られていたし。
そもそも、日取りなんてあまり猶予がないうえにお店の予約状況もあるわけで。
そんなわけで――
お店も日時も半ば自動的に?決定して……。
どんどんどんどこ、あれよあれよと……。
帰省先からY市へ向かう私たちの車は、後部座席もトランクもお土産だらけ!
そして、そのほとんどは食べ物だったのだけど、そうでない物が一つだけあった。
それは――
「しかし君が振袖を着てくるとは思わなかったから、けっこうびっくりだったよ」
「私はワンピースでいいって言ったんだけど、お母さんが強引に決めちゃって……」
「そうだ、後ろの花柄の紙袋の中に写真が入っているんだ。見てみたら?」
「うん!見るみるー」
着なれない振袖姿の私とシックなスーツ姿の寛行さんの二人写真。
そして――
やや緊張した面持ちの父親たちと朗らかな笑顔の母親たちも一緒に並んだ家族写真。