年末、私は寛行さんに送ってもらい自分の実家へ。
そして、彼もまたその足で自分の実家へと帰省した。
けれども、県境を越えるとはいえ車を使えば二人の実家はけっこうなご近所さん。
そんなわけで――
年末年始も互いの実家を行き来していた私たち。
1月2日にはさっそく寛行さんが私の実家へ新年の挨拶に来てくれた。
もちろん――
彼が新年早々に我が家へ来てくれたのは単なる挨拶の為だけじゃあない。
それは、とても大事な相談事があったから。
“両家の顔合わせはいつにしましょうか”
春には入籍しようとしている私たち。
いよいよ本格的に始まった婚礼準備。
年が明けて一番最初の初仕事。
そのご相談を彼が切り出したのは4人でお昼ごはんを食べているときだった。
「僕の両親がお目にかかってご挨拶させていただきたいと申しておりまして――」
寛行さんの話し方は相談というより丁寧なお願いという感じだった。