さてさて、やってきました忘年会。
真中君も桜庭さんも私も手はずどおりに?それぞれの係に徹した。
だけど――
誰よりも一番はりきって自分の係に徹したのは並木先生だった。
とにかくもう、功労賞モノ!みたいな。
真中君が私の婚約者の名を告げたとき、当然、研究室メンバーにどよめきが走った。
明らかに怪訝そうな空気の混じった不穏などよめき……。
そりゃまあ無理も無いけれど。
だって、身近な人間の婚約者が実は自分のよく知る人物だったなんて。
んなこといきなり言われれば、まさに寝耳に水である。
そして、水面下での交際は“禁断の恋”と誤解されても無理からぬこと。
けれども――
「いやぁ、何を隠そう二人を引き合わせてくっつけたのはこの僕なんだよねぇ」
並木先生が皆の様々な憶測を一気に吹き飛ばしてくれた。
いつになく饒舌に、私と彼の馴れ初めを雄弁に語るキューピッド。
斯くして――
老練なキューピッドのおかげで私はあまり好奇の目にさらされずに済んだのだった。
が、しかし!