むすっと不貞腐れる私と、余裕ありげにしれっとしている寛行さん。
そんな二人を黙って見ていた桜庭さんがくすりと笑う。
「シオリンと高野サンって本当にラブラブなんですね」
「そ、そんなこと……!」
「はい。どうもおかげさまで」
「なっ……何言っちゃってんですか!」
「ん?僕と君がラブラブだという事実?」
「そういう説明求めてないし!」
「まあまあシオリン落ち着いて。そろそろ真中クンも来る頃……んん???」
「へ?どうかしました?」
はてな?と首を傾げる桜庭さんの視線の先に目をやると――
「あれって並木先生……ですよね???」
真中君の隣りには、いかにも寒そうにコートの襟を立てて猫背で歩く並木先生の姿が。
「真中クン……いわゆる同伴?なーんて。けど何故に並木先生と同伴出勤?」
「桜庭さん、出勤じゃなくてただの同伴。ん?でもまあ似たようなもの?同じ?」
「ご飯食べさせてもらう気満々でしょ?いかがわしいなぁ、真中クン」
「ナントカ交際、みたいな???」
「プレゼントもらったり?ご飯食べさせてもらったり?それだけ~!みたいな?」
「並木先生、お可愛そうに……」
「憐憫の情をもよおさずにいられないね」
「こらこら二人とも、そういう下世話な想像をするのはおよしなさい……」