トリを貪り喰う日の翌日。

12月24日、全国的に正真正銘の?クリスマスイヴである。


寛行さんの出勤に合わせて一緒にうちを出た私は午前中から大学へ。

もっとも、朝から大学に出てきても、もうやることはあまりないのだけれど。

修士論文は無事に提出済みだし。

研究室の忘年会は夜からだし。

だけど、なんとなく……。

何も用がなくても大学へ来たい気分だったから。

学生でいられるのもあとわずかだし。

このゆるい時間をたっぷり満喫しておきたくて。

このぬるい時間にどっぷり浸かっておきたくて。

お昼前には学生たちで賑わう居室も今は私一人きり。

静かな部屋にお湯を沸かす電気ポットの音だけが地味に小さく響いている。

ぼちぼちお湯も沸きそうで、お茶の支度に席を立とうとしたそのとき――

「うぃーっ。なぐごはいねが~、わるいごいねが~。ハゲはハゲでも髪あるど~」

「真中君、そんなナマハゲじゃあ“絡みづらい”ってクレームついちゃうよ……」

明らかにやつれた顔をした真中君がぬぅっとアヤしく現れた。