彼の作り話は本当にいつだって行き当たりバッタリなのだから。
そして――
「じゃあ離婚したらまた来てくれるの?」
そんな彼が可笑しくって可愛いから、ついつい意地悪したくなってしまう。
「配偶者がまたいなくなれば来るようになるってことでしょお?」
「いや、それは……えーと、婚姻歴のある人のところには来ないんだよ」
「えー、なにそれー」
「とにかく離婚してもムダです。っていうか君は結婚する前から何言ってるの……」
「聞いてみただけー」
「詩織ちゃん、なんで今日はそんなに悪い子なの……」
「プレゼントくれたら改心する」
「そんな、ますますワルじゃない……トナカイはよい子の君へくれたんだよ?」
「じゃあ改心するからちょうだい?」
「なんか、どんどん悪い子になっているのは気のせいだろうか……」
「むぅぅ。くれるの?くれないの?」
「はいはい、あげますよ。あげますとも」
そうして彼はプレゼントの包みの入った紙袋を“どうぞ”と私に差し出した。