彼がいいと言ってくれても、なかなか素直に頷けない。

確かに結婚式は一生に一度だろうけど、だからって……。

職場で彼を好奇の目に晒してまで通す我が侭ではない気もする。

それこそ、一生ではないにしろ在職中ずっと語り草にされる彼を思うと……。

むぅぅ……。

うーむ……。

「詩織ちゃん」

「……」

「し・お・り・ちゃん」

考え込む私の思考を断ち切るように、彼がさくっと提案する。

「ちょっと車止めて話そうか」

「いい、けど……」

そんなわけで、私たちはこの膠着状態を打開すべく最寄のコンビニに立ち寄った。

二人で車を降り、蛍光灯が煩いほど明るい店内へ。

温かい飲み物のコーナーで、それぞれに好みの物を無言で選ぶ。

私のココアの会計も彼が自分の紅茶と一緒にすませてくれたけど、なんか……。

レジで一緒に待ってる間も、なんだか微妙に気まずい空気。


さて……。

車に戻ってお話し合いの始まりはじまりである。