安堵の中にちょっぴり淋しさが混じった、お父さんの優しい笑顔。
慈しみ深くお父さんを見つめる、お母さんの優しい眼差し。
お父さん……。
お母さん……。
ああ、私はこの両親の元からホントのホントに巣立っていこうとしているのだ。
そう思うと――
頑張ってくれた寛行さんには、とても申し訳ないのだけれど――
結婚の許しを無事に得られた喜びよりも、淋しさが深く胸に沁み入った……。
さて。
何しろ今日はあまり時間のない私たち。
結納のこと、引越しのこと、入籍のこと、お式のこと……話すことは盛りだくさん。
早速、私たちは自分たちの考えをすべて伝えて相談した。
すると――
「二人で考えて、二人で決めて、二人のやりたいようにやりなさい」
「そうよ~、一生に一度なんだから」
ありがたいことに、お父さんもお母さんも、私たちの考えを快く認めてくれた。
そしてさらに、協力は惜しまないので何かあったら相談しなさい、と……。
格式ばった結納や、親戚中を招待した派手な披露宴には懐疑的な私たち。
どうやら不本意なことをあれこれせずに済みそうで、理解を得られて一安心。
寛行さんと私は“ほっ”と胸を撫で下ろして微笑みあった。