「流華、この前の事は忘れてくれる?」

席に着きながら唯は真面目な顔で話してくる。

「唯…もしかしてやっぱり怜治君の事好きだったの?」

私は唯の頼みを無視して話した。唯は話す相手を選んだり、言葉を変えたりして本音を濁すところがあった。私には心を開いてくれていたはずなのに、「忘れて」その一言に唯の別の本心があると思ったからだ。

「好きじゃないよ、でもお願い。忘れてよ」