「すみません。

それが・・・ベッドの操作は、看護師さんの仕事で」


言いにくそうに、彼女が答えると、山下さんは、ますますヒートアップする。


「あんただって、看護職員でしょう!

どうしてできないのよ!」


そりゃあそうだ。

それが、普通の人が持つ感覚。

山下さん、あなたは少しも間違ってない。

でも、それは、お偉い人の常識からは、はずれてるんだよ。


仕方なく、私は間に割ってはいる。


「違うんですよ、山下さん。

この人は、さぼってるわけじゃなくて、

決められた以外の仕事をやったら、くびになるんです」


「は?」


山下さんが、素っ頓狂な声を上げる。


一つずつ、丁寧に私は説明を始めた。