花立ての中を綺麗な水と取替え、買ってきた薔薇と海東が持参した白い百合をあわせて飾る。

墓石の周りに生えている草をもくもくと抜きゴミを片付けると、その場が見違えるように美しくなった。

線香を立てて二人でそろって手を合わせた。


知らない人が見れば、私と海東が親子のように見えることだろう。



・・春菜ちゃん。私、頑張ってるよ。



天国にいる姉に近況を報告してから目を開くと、海東はまだ合掌したままだった。


3年前は海東の後に墓参りをしたが、去年もその前の年も、今日と同じように海東とここで出会った。

海東の話によると、姉が死んですぐの頃は、命日に墓参りをしていたらしい。

それが両親とばったり出会い、二度と来るなと言われ、誕生日に来る習慣に変わったのだそうだ。


「お母さんの具合は、どうかね」


海東は合掌をとくと、合言葉のように母の具合を訊いてきた。

毎回同じなので、もう慣れっこだ。


「あいかわらす隔離室にいるみたいです」


「そうか」


海東の低い呟きは、亮雅そっくりだ。