だから、文句をつける役目は、

必然的に、私たちのような、立場の最も低い、ハケンの仕事になるわけだ。


その理不尽さに嫌気が差して、この病院を去って行く者は、多い。

病院側にとっても、受付は若い方がいいから、

職場環境が整って、長居されると困ってしまうわけだ。


しかたなく、私は受話器を上げた。


「ちょっと、どうすんの?」


「仕方ないから、神奈川(かながわ)に電話」


「うそ?やばくない?」


神奈川ってのは、内科の医長だ。

手っ取り早くいうと、部長みたいなもの。

つまり、さっきの女医、大谷の上司にあたる。


私たちが、こそこそと話している間にも、

受付は、クレームの山で、通常の仕事に支障をきたしている。


やばいのは、わかってるよ。

でも、どうしようもないじゃん!

だって、私以外、誰もやんないんだよ?


私は、心の回路をOFFにした。

毎度のことだ。

もう、慣れっこ。