今度は、私と里佳子が目を合わせた。

その隙を突いて彼らは里佳子の体を押すと、勢いよく駆け出す。


「きゃっ!!」


バランスを崩した里佳子の体を支えきれず、二人して豪快にしりもちをついた。


「ちょっと待ちなさい!」


里佳子が怒鳴ったときには、二人の姿は小さくなって雑踏へと消えていた。


「ごめんね、大丈夫?夏夜」


「ううん。私こそごめん。ありがとう。里佳子がいなきゃ、また襲われてたかも」


体が、自分のものでないような気がした。

魂だけが、どこか遠くへ飛んで行ってしまって抜け殻になったような。


「夏夜?真っ青だよ。本当に大丈夫?」


「あ、うん。あの二人に会ったから驚いて。

それとさ、里佳子」


「ん?」


「亮雅には一人で会いたいから、里佳子は先に帰っていいよ」