その後シャワーを浴びた私は、暴行されていないだろうという自分なりの結論を得ていた。

あれは、夢ではなかったんだ。亮雅は確かに私を助けに来てくれた。


もうこれ以上、自分をごまかしきれない。

亮雅に会おう。


私は体を洗う腕に力を込めた。洗い流すと、すっきりして気分が高揚した。


一人で大丈夫だという私に、里佳子は乗りかかった船だから、なんて言ってついてくる。

正直ちょっと怖かったから、里佳子がいてくれてありがたかったけれど。


「具合が悪いって欠勤してるんでしょ?見つかったらまずいよ」


「平気だよ。堂々と表から入ればばれないって。

さっさと病棟まであがっちゃおうよ!」


病院の入り口で躊躇する私に、里佳子は笑って返した。


確かに入り口は人でごった返している。

“インフルエンザが流行しています”の文字とともに、アルコール消毒のボトルが置いてある机には、列ができている。


仲地に連絡を入れたら、かえって会えないのではないかと思い、病棟に直接乗り込むことにした私だったが、

情けないことにいざとなったら膝ががくがくと震えている。

里佳子がいなければ、この辺で引き返していたかもしれない。