里佳子が私のために仕事を欠勤したと知ったのは、私の話が全て終わったあとのことだった。

姉の事を含めた全てを話し終え、私は誰かに話を聴いてもらうことの重要性を改めて思い知った。

聴いてもらう。ただそれだけのことが、こんなにも心を軽くするなんて。


「今まで一人で良く頑張ったね」


里佳子の一言が、私の体中を駆け巡り、全てを浄化していく。

私を責めず、肯定してくれたことが、私のすべてを救ってくれた。


それにしても、変だね、と里佳子は首を傾ける。


「その二人組み、本当にたまたま夏夜のことをつけてたのかな?」


私もそれは気になっていた。偶然にしては、タイミングが良すぎる。

それに、連れ去られた私を、亮雅はどうやって見つけたのだろう。


「なんか、わからないことだらけだね。でも、多分暴行はされてないと思うよ」


「なんで?」


「だって、洋服は綺麗なままだったし、パジャマに着替えさせたときも特に気づいたことはなかったよ。

仲地先生も、酔ってるだけでなんともないから心配するなって言ってたから」


体に痛みもないし、暴行されたにしては何の違和感もなかったから、

里佳子の言葉がそれを裏付けてくれたような気がして、少しだけほっとした。


「まず朝ごはん食べて、それから考えよう」


里佳子がわざわざ運んでくれた朝食をもう一度リビングへ運び、二人で食べることにした。

すっかりぬるくなってしまったヨーグルトは、それでもとてもおいしい。


「そういえばさ、昨日大変だったんだよ」


普段の会話に戻って、里佳子はヨーグルトをのせたスプーンを口にした。