背筋に冷たい悪寒が走り、私はぶるっと身震いした。

彼らは、あのときの事を覚えていて、しつこく私を襲おうとしたのかもしれない。

けれど、それにしては、亮雅の行動が不自然な気がして。


「亮雅は、私がどこにいたかを言ってた?」


里佳子の訊きたいだろうことはそっちのけで、私の質問を優先させた。


「特に何も。ただ」


「ただ?」


「もう、病院には近づくなって」


里佳子はそう言ったあと、私の両手を強く握って私を驚かせた。


「お願い、夏夜。全部話して? 前から夏夜は私に何か隠してるって思ってた。

言いたくないならと思って訊かなかったけど。これ以上見て見ぬふりはできないよ。

力になれないかもしれないけど、話してほしい」


思いがけない里佳子の強い言葉が、私の心の奥底に溜まっていた汚泥を洗い流していくような気がして、

私の両目から、熱いものがあふれ出してきた。


「里佳子。ありがとう」


うん、と言いながら、里佳子は私の肩を、ただ静かに抱き寄せてくれた。