「それで?」


話の続きが気になる私は、里佳子に先を促した。


「一度ここに来た仲地先生が鍵を開けたけど、やっぱり夏夜はいなくて。

私はもしも夏夜が戻ったら、先生に連絡を入れるってことになってたんだけどね。

夜中に先生が、眠ってる夏夜を抱えて戻ってきたんだよ。

何があったんだ、って訊いても、先生は夏夜が飲みすぎて倒れたんだって」


窺うような瞳で、里佳子は私を凝視している。

けれど、私は何も返事ができずにいた。答えようがない。

だって、私も、昨夜何があったかわからないのだ。


それでも、二人組みの男に拉致されたのだけは、間違いなくて。


ひょっとしたら。


嫌な想像が頭を駆け巡っていた。



・・間違いない。あれは、あのときの二人組みだ。



私は、すでに彼らが何者なのか見当がついていた。

以前、繁華街で私をホテルに連れ込もうとした二人組みだ。

あの時は危うく難を逃れたけれど、今度は。


ひょっとして私は、眠っている間に暴行されたのだろうか。