「いいか、体が芯から温まるまで出てくるんじゃないぞ」


そう言うと、亮雅は私の裸なんかに興味はないんだという勢いでバスルームのドアを閉めて出て行った。



・・温まるまで?



そう言われてから、自分の体がどれくらい冷えていたのかを自覚した。

シャワーのお湯に痛みを感じたのは、体が熱を痛みと認識したからだろう。

そうとうに熱いお湯が出ているのだと思ったけれど、少し慣れるとぬるく感じる程度の温度だった。

あっという間に浴槽に湯が張られるのを見て、自分が洋服を着たままなのを思い出す。



・・とにかく、服を脱がなきゃ。



脱げと言われていやらしい事を想像してしまうなんて、我ながら情けない。

亮雅はただ、私を助けてくれただけなのに。


濡れた洋服は肌にぴったり張り付いて、気持ちが悪かった。

おまけに下着にいたるまで、びっしょり濡れてしまったせいで脱ぎにくいったらない。


悪戦苦闘していたせいで、人の気配に気づくのが遅れた。


「なんだ、まだ脱いでないのか」