「おい、人の女をどうする気だ?」


車の中から現れたのは、私がたった今心の中で名前を呼んだ男。



・・嘘?助けに来てくれた?



殴り合いになるかと思ったが、亮雅の車が窓に黒いフィルムを施した外車だったせいだろうか。

二人の男たちは舌打ちをしながら足早に去っていった。


「亮雅」


安堵から急に力が抜け、私はその場にしゃがみこんだ。


「乗れ。家に帰るぞ」


「ごめんなさい」


「いいから乗れ」


「私・・・」


その後は言葉にならなかった。

降りしきる雨粒でさえ、私のあふれる涙を隠しきれない。


嗚咽を漏らす私を見て、亮雅はため息を落とすと、不意に私の膝の裏に手を差し入れた。


「きゃっ!」