私は一心不乱にそのファイルをめくっていった。

何かに取り付かれたように。


それは、地方新聞の、姉の死を伝える小さな記事から始まり。

やがて、裁判の記事へと変化していく。


中には、週刊誌から切り取ったと思われるものも多数あり、

『医療ミスか!?少女死亡。大病院に潜む闇に迫る』

などと、ドラマ仕立てで書きなぐった文字が目に入る。


それらはやがて、民事裁判をおこした私の両親の中傷記事へと変化していき。

金目当てだの、実は子どもを虐待していただの、子どもの保険金で贅沢をしているなど、

おそよ、公平に取材をして書いたとは思えない、ありとあらゆる誹謗がならべられた記事が列挙されていた。


学校帰りに待ち伏せされ、カメラを持った大人に追い回された体験が、

記憶の底からよみがえって、吐き気がした。


読んでいられない。


あまりのひどい記事に、そう思っていったんはそれを閉じた。


けれど。


やはり気になる。

両親は、私が幼いからとほとんど何も教えてはくれなかった。

最低な記事でも、真実の欠片くらいは載っているかもしれない。


私は震える手でそのファイルを開いた。