9月は、事務員にとっても忙しい日々だ。

保険証の切り替えは9月が多い。


それに加え、特定疾患医療受給者証の有効期限が今月で切れることが多いのだ。


特定疾患というのは、国が指定したいくつかの病気について医療費を助成している制度なのだが、

年に一度、書類を提出して、新しい受給者証を発行してもらわなくてはならない。

この書類の処理っていうのが、結構重労働なのだ。


小さな病院ならたいした量じゃないのだろうが、うちのような大病院では、

ため息が出るほどの書類がやってくる。

だから私も、ここ何日も夜遅くまで残業づけの日々を送っていた。


亮雅は亮雅で、新しい研修が始まったため、やはり忙しい毎日をすごしており、

簡単にいうなら、ここのところ私たちはすれ違ってばかりいたのだ。


いつの間にか、過去の事実を知るための手段として、というよりも、

亮雅といることそのものが目的になっているようで、私は自分を嫌悪した。



・・なんか、私ってばだんだん弱い人間になってない?



熱いシャワーを浴びながら、そんな事を考えていた。