「ウーロン茶だけに、ウロ(泌尿器科のこと)が担当!

う~ん、うまい!なんてな」


「もう、や~だ、先生!」


赤い顔をした人間は、何を聞いても面白いんだろう。

泌尿器科の医師のギャグに、しらけることもなく、何人もが笑い声をあげて、手を叩いた。



・・うえ~。もうこれ飲めないじゃん。



そこまで潔癖ってわけでもないが、いけてないオヤジの口がついたグラスのお茶なんて飲む気にもなれない。

けど、あからさまに新しいものを頼むのも気が引けて、どうしようか迷っていると、

はい、という声とともに、私の目の前に、新しいグラスが差し出された。


その声に、どきりとしながら顔を上げると、満面の営業スマイルがある。



・・何?亮雅ってば、なんか怒ってるの?



亮雅がこういう顔をするときは、私の何かが気に入らないときだってことも、

この数ヶ月で学習したことだ。


普通は、科を超えた飲み会って、あんまりないんだけど、

今日の主催者である医師と亮雅が、高校の先輩後輩にあたるとかで、誘われたらしい。

他にも、脳外科や、小児科など、高校や大学つながりで数人の医師が席をともにしている。