「えっ!?」


びっくりした。

心底びっくりした。


「えっ、な、なんで」


動揺が言葉に現れる。

いくら、具合が悪くたって、絶対、顔には出さなかったはず。

どちらかっていうと、営業スマイルで微笑んでたはずだ。


すると、男はさっきまでと違う、無表情で、私を見下ろした。


「あんた、職場どこ?送っていく」


なんか・・・、さっきまでと口調までも違わない?


行くぞって言葉とともに、男の手が私の腕を掴んだ。

まるで、逃がさないぞって、宣言するみたいに。


「行くって、どこへ」


抵抗する私をぎろりと睨むその顔は、とても、さっきまでの好青年と同じ人物だとは思えない。


「えっと、あの・・私、胃が痛くてあまり歩きたくないので。

次の電車が、もう来ますし」


危険。

私の本能が訴える。


早く、この男から離れなきゃ、そう思って、言った言葉だったのに。


(ぎゃああああ~!!!!!)


そんな馬鹿な!!!