ところで先生?といいながら、里佳子は声を落として仲地に体を近づけた。
仲地の耳元に唇を寄せる里佳子。
意味深に微笑む仲地。
その様子を見て、なぜか嫌悪感がこみ上げてきた。
わけのわからない、名前を持たない感情。
それが何かを考えようとした瞬間、
私は、漏れ聞こえた里佳子の台詞に、天と地がひっくり返るかと思った。
「それで、夏夜とは、うまくいったんですか?」
「ん~、まずは、お友達からってところかなぁ」
・・な、何を言ってるんだ、こいつらは。
二人して、私のほうに流し目を送ったのを見て、私ははっとした。
「里佳子!
ひょっとして、私のメルアド・・・」
どうして彼が私のメルアドを知っているのか、不思議で仕方なかった。
いくら入院してたからって、そこまで教えたりはしていない。
「だって、先生がど~しても、知りたいっていうからさ」
里佳子は、茶目っ気たっぷりにウインクした。