はっと目を開いた。


暗い部屋。

何も見えない暗闇の中で、テレビのリモコンだけが、ぼおっと光って、存在を主張している。



・・夢か。



私は、ゆっくりと体を起こすと、枕元においてある携帯電話に手を伸ばした。

4:37という文字が、携帯の表面に浮き出て見える。

まだ朝の5時にもなっていない。


はぁ、とため息をついたとたん、全身の力がどっと抜けたのがわかった。



・・春菜ちゃん。



年の離れた姉の名を、心の中でつぶやくと、洗面台へと向かう。

鏡に映った顔は、父にも母にも似ていない。

幼い頃、姉の小さい頃によく似ている、と言われた。


もしも、姉がこの年まで生きていたら、こんな風な顔をしていたのだろうか。