「どうした?なんかあったのか?」



「えっ、あの、えっと…」



俯けた私の顔を、腰を屈めて覗き込むように聞いてくる由樹兄ちゃん。



それでも、あからさまに逃げるように視線を逸らして、しどろもどろに答える私。



ていうか、答えてない私の隣に。



「ふーん…」って言って、ドカって座ると。



「ほら、とりあえず、拭いておけば?」



そういって、柔らかく微笑んでハンカチを差し出してくれた。



「……、ありがとう…」



受け取ったハンカチはキレイにアイロンがかかっていて。



仄かにだけど、由樹兄ちゃんが愛用してる香水の香りが確かに香って。



涙を拭くために、目元を抑えたのに。



なんだか、余計に泣けてきた。