白い紙の上でその赤い生き物は跳ねた。
「あ。」
私が叫んだ時には既にそれは紙を破って逃げ出していた。
「…鈍くさい。」
「なっ!?」
隣の彼の言葉に
『自分はどーなの?』
と返そうとしたが、
「………。」
彼の青い器の中には沢山の金魚が泳いでいた。
…しかも金魚をすくう紙も破れていない。
「何だよ?」
「…何でもありません。」
非の打ち所がないとはこういうことなのだろうか。。
「おい、兄ちゃん。それ以上すくわれると商売にならないぞ。」
ついにはお店の人までそう言い出した。
「大丈夫。俺貰うのは二匹ぐらいでいいし。」
隣の晃はそう返して今度は黒の出目金をすくい取る。