俺は桜井が落とした本に目を落とした。

(演劇の基礎…発声方法…??こいつ演劇なんてやってるのか?無理だな。)

俺は本を拾いながら嘲笑した。ニッコリ微笑んで拾った本を渡した。

「あ…ありがとうございます……」

消え入りそうな声で言うと桜井鈴はどこかへ行ってしまった。

俺はクルリと向きを変えると教室へ向かって歩き出した。